訪問診療で働きたい看護師必見!4つのポイントを経験者が解説します

訪問診療で働きたい看護師必見!4つのポイントを経験者が解説します


4年半訪問診療クリニックで勤務を経験したから看護師だからこそ!訪問診療クリニックで働くためポイントを解説!フリーランスのライターだからこそ、ありのままの内容でお伝えします!

①訪問診療の主力商品を理解して意識する

訪問診療クリニックが提供している主力の商品は何でしょうか。それは「医師の診察」です。

ですので、患者さんご家族が1番に注目しているのは医師です。訪問診療クリニックの看護師も前に出る時はありますが、決して1番の主役ではありません。

看護師として前に出る機会が多い病棟や訪問看護と比べると、最初は大きな違和感を感じるかもしれません。ですが、自分がどんな商品提供しているのかを意識していないと、患者さんご家族の診療に対する満足度が下がります。なぜなら、相手が欲しいものに対して、違う商品を押し売りしているようなものだからです。

在宅医療は、たくさんの職種の方が関わるチームの医療と言われています。その中で、主治医の判断が全てではないものの、実際はチームに大きな影響を及ぼします。正直に言って、やはり医師の力は絶大なものです。

ですが、訪問診療クリニックの仕事は主治医1人で完結するわけではありません。診察、処置、方針の決定など幅広い分野で看護師の目線やケアを必要としています。

「訪問診療クリニックの主力商品は医師の診察である」という視点を持ち、場面に合わせて主治医、患者さんご家族、関係職種の誰をサポートすべきかを考え行動すれば、自然と主治医から必要とされる看護師になるでしょう。

②看護師ができる医療処置は全て巻き取る

訪問診療クリニックは、特殊な医療処置は病院に比べれば少なく、看護師ができる基本的な医療処置が多く登場します。だからこそ、出来るだけ主治医の手を借りず、看護師でできる処置は巻き取りましょう。

なぜなら、看護師が単独で処置をしている時間は主治医にとって貴重な時間だからです。

診察中は医師はずっと会話をしています。処置中の時間は、主治医が何かを考えたりカルテを記載するなど、集中して作業できる時間なのです。

ここで看護師が処置を上手くできずに医師がやるとなると、倍の時間がかかってその後の訪問に影響が出ます(もちろん、成功するまで必ず看護師がやる必要はありません)。「最初から先生がやればいいじゃない」と患者さんからも言われかねません。ですが、看護師が上手に処置をすることができれば、主治医の作業時間を確保し、かつ患者さんとの信頼関係を作ることができます。

例えば、採血は訪問診療クリニックの看護師が行う頻度が多い処置です。患者さんの中には「病院で何回も針を刺されて失敗した」という体験を話す方が、多くいらっしゃいます。医師は難しい採血でも取れると患者さんから思われているのですが、看護師が上手に取れるとかなりの割合で患者さんとの関係が良くなります。結果として、患者さんにとって訪問診療を受ける価値を上げることにつながるのです。

訪問診療クリニックでは環境や物品に制約がある中で処置を行うので、基本的な処置でも大変なことがたくさんあります。それでも、「看護師ができる医療処置は全て巻き取る」と構えておくと良いでしょう(実際は、きちんと主治医に確認してから処置をするようにしましょう。)

③師長のような立場で訪問看護ステーションとの架け橋になる

訪問診療クリニックの看護師は、訪問看護師さんとのやり取りが数多く発生します。なぜなら、同じ職種として想いや現場の状況を理解しやすい立場にあるからです。地域にあるたくさんの訪問看護ステーションとやり取りをするので、師長のような立場で動くことになります。

とはいえ相談や報告は医師に判断を求める内容ですので、看護師で対応に困った時は主治医に相談すれば大丈夫です。ですが、診察中などで常に主治医へ相談できるわけではありません。そのような時、主治医の方針を理解した上で看護師で対応ができるようになると、訪問看護師さんから名前を覚えてもらい信頼関係が構築され、クリニック全体の信頼性もアップします。

訪問看護師さんとの対応の中では、自分よりも経験年数が上の方も当然含まれます。最初のうちは、やりとりするのは緊張します。ですが、訪問診療クリニックと訪問看護ステーションでは提供する商品が異なります。相手を経験豊富な訪問看護のプロとして尊敬し、何を求めているかを理解できれば、自然とやり取りが出来るようになります。

ぜひ、師長のような立場で訪問看護ステーションとの架け橋になりましょう。

④医師の前では言えない想いをくみ取る

患者さんご家族は、先生が家に来るだけでも緊張するという方がたくさんいらっしゃいます。関連職種の方の中にも、気難しい(と思われている)医師には、言いたいことを上手く言えない方がたくさんいらっしゃいます。私も訪問看護師として働いていた時、主治医に電話で連絡を取る時は毎回緊張していました。

訪問診療クリニックの看護師は、こうした方々の想いをくみ取る必要があります。なぜなら、その想いの中に大事な情報が隠されていることが多くあるからです。

訪問診療は医療的処置はもちろんですが、患者さんご家族の今後の方針を決めることも重要な仕事です。そのためには、患者さんご家族や関連職種の方が持っている想いを情報として集めることがとても大事なのです

看護師としての共感や傾聴のスキルを活かし、相手が本当は何が言いたいのかを探ることを常に意識しながらコミュニケーションを取ると良いでしょう。

さいごに

今回は、私の経験から4つのポイントに分けてお話しました。訪問診療クリニックの看護師は、看護師全体で見れば働いている人は超少数派です。リアルな情報がまだまだ少ないので、少しでも現場の風が伝わるように発信していきます!

※記事の内容は、実際の職場環境や条件により異なる場合があります。

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菅基

VISION「看護師資格を活かした新しいキャリアを追求する」|女医の夫として妻を支えてます|医療と女医の情報を発信|看護師として急性期病棟から在宅医療まで幅広く臨床を経験|100人以上の看取りに関わる|法大社学卒